緊急 ドリーKお知らせ
関東地区のマニア様へ・計画節電への対応・考え方



  この原稿執筆現在、(2011.3.15)関東地区において、
計画節電(計画停電)の処置がなされております。停電は計画的に時間を決めて行われるそうですが、
思わぬトラブル(復帰できない、停電が長引く、停電回数が増える等)も念のため想定しておいたほうがいいでしょう。

停電時における、愛魚たちへの対処を考えます。
一時的な処置・考え方について、私自身の個人的な経験上の情報・対策を発信します。

当ホームページをご覧の皆様が飼育しているであろう、直接の影響が心配される魚種は、
アロワナ・ポリプテルス・ガーパイク・淡水エイ・ダトニオ・プレコでしょうか。
デリケートな小型珍美種・ディスカス・ビーシュリンプ・海水魚・水草・・等は、
貴方の往きつけの主治医的なプロショップにご相談下さい。
いずれも、魚種・規模に応じた対策を意識することにより、停電時でも工夫次第で、死亡・放出することなく、
近い先に、今まで通りのアクアライフを楽しむことができると思います。

話を本題(古代魚・大型魚)に戻します。関東・計画節電区域に指定された方へ。
まずは、水温の設定を低めにしてください。
水質の劣化の速度を遅らせる事と、魚体の代謝を遅らせる効果があります。
魚体の代謝を遅らせるということは、成長を妨げることにつながりますが、
一言でいうなら、この時ばかりは、突然の水温低下にも対応できる魚体にしておきましょう。
仮に数時間の停電で20℃まで下がってしまうとしても、
ずっと30℃ですごしてきた個体がいきなり受けるのと、24℃にいるのとでは、
受けるダメージ(ストレス)が違ってきます。 よほどの成長期の稚魚以外に、今の事態(計画停電)の場合、
今、現存している生体を成長させるより、生き延びさせる手段を優先したほうが、結果的にはいいでしょう。
具体的には、現在30℃で飼育しておられる方は28℃以下に、28℃で飼育しておられる方は26℃以下に、
26℃で飼育しておられる方は24℃以下に、まずはご設定下さい。
ゆっくりと段階的に水温を下げ、最終的には20〜24℃くらいでこの事態(計画停電)が収まるまで様子をみます。
真夏ではないので、この作業は容易に出来るとおもいます。
そして、この事態(計画停電)のあいだは、できるだけ小エネルギーで維持するよう心掛けます。
水槽の側面や裏面、できれば底面に断熱材(スタイロホーム等)で覆うことをお勧めします。
断熱処置の優先順位としては、
水槽(水量)が小さくなるほど水温低下の速度が早くな ることを考慮しましょう。
石油ストーブが使用できるなら、使用して水槽部屋を暖めるとより良いでしょう。
給餌も最小限にとどめ、できるならこの期間(計画停電)はグッと給餌を抑えることも有効でしょう。
ほとんどの古代魚(淡水エイを除く)は基本的に絶食に強く、
突然の1〜2ヶ月の絶食にも耐える生命力があります。
混泳環境では空腹により、一時的な争いによってヒレ等一部損傷してしまうかもしれませんが、
死亡まで発展、というパターンは低水温であれば、少ないと思いますが、
どうしてもダメそうな場合はセパレーターで仕切りましょう。
停電回復まで待てないような一時的な水温の回復は、
ガス瞬間湯沸かし器(電池式)もしくは、ガスコンロでお湯をわかして使用すればいいでしょう。
ペットボトルに入れて複数本用意しておくのもいいでしょう。
大きな規模で熱帯魚飼育をされているマニア様には、停電時にエンジン式の発電機を備えておられる場合もあります。
また、オーバーフローシステムの場合、水槽内の表面張力分の水が落ちてもあふれないよう、
ろ過層内の水位をチェックしておきましょう。


酸欠対策について
複数の魚種が混泳している場合や、
酸欠に弱い魚種、例えばダトニオ、淡水エイ、プレコ(ヒポプレコ類以外全種)、シクリッド類、遊泳型キャットフィッシュ等には、
電池式のエアポンプ等でエアレーションする必要があります。
電池は少々高価でも長持ちするものを選ぶことをお勧めします。
数台用意し、一方に水作エイト等、活性炭機能のついたフィルターをつけるのも効果的です。
オーバーフローシステム等、大容量のろ材を用いている場合、そこにもエアレーションすることが後述しますが、重要になります。
ポリプテルス類・ガーパイクのみの少数飼育であれば、急なエアレーション処置は必須ではありませんが、できれば行いましょう。



復帰時について
停電のあとの復帰時にブレーカーが落ちることがあります。
ヒーター等、消費電力量の多い機器類はあらかじめコンセントを抜いておき、
通常の電気機器が正常に作動しているのを確認してから電源を入れるといいでしょう。
また、水槽の蛍光灯の電源もOFFにしておき、部屋の明かりに慣れた頃、点灯するようにします。
真っ暗な部屋から、いきなり部屋も水槽も明るくなると、魚が驚いて大暴れしやすくなります。
そして、ろ過層にも気を配ります。
水の循環の止まった状態のろ過層は、ろ過バクテリアが多ければ多いほど、悪い環境を早く作ってしまいます。
ろ過層内の酸欠が発端となり、ろ過バクテリアの死亡が水の腐敗を引き起こし、
水の腐敗が更なるバクテリアの死滅を促進する、といった悪循環が形成されます。
こなれたいい状態のろ過層ほど、水の流れが止まった時のろ過層内の悪循環も速く進んでしまうということです。
ダトニオやエイ等、餌を大量に与えていた環境でのろ過層では、
上記に加え、食べカスや排泄物等の劣化・腐敗も考慮にいれておきましょう。
停電時における、一時的なエアーレーション処置は、水槽内の魚に目を向けられがちで、確かに重要ですが、
大型魚飼育の場合、ろ過層内のエアレーションも忘れずに行って下さい。
外部式パワーフィルター等は直接エアレーションできないので、事前に別容器にろ材を移し水を張ってエアレーションできれば理想です。
私の経験上、このようなろ過システムの崩壊は、外部式パワーフィルターで、夏場で丸1日で至ったことがあります。
今回の計画停電では長くても数時間程度ということなので、
ろ過層内の悪循環は、たとえエアレーションなしでも、まず起こらないと考えますが、
気を配っておいて損はありません。
復帰後、ろ過層から水槽に水が循環したとき、魚が痒そうな行動を起こすことがあります。
特にアジアアロワナでは敏感に感じるようです。
そのような症状がだらだら続くようであれば、ろ過層内の雑菌が多いことを疑い、
ろ 過層・ろ材の洗浄が必要になってきます。
言うまでもありませんが、ろ過層の洗浄といっても全てを新品のようにピカピカにす るのではなく、
ろ過バクテリアを残す意味で、ろ材はザックリ洗い、スノコ下のヘドロは有害なので、きれいに洗い流すようにします。
痒がっていたアロワナが、うそのように堂々とした泳ぎに変わるでしょう。

停電対策は何かとやっかいなものですが、今の厳しい状況を何とかしのいで、
次に繋がる飼育術を獲得していただけるよう願っております。
ドリーK&レッドケン


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